国学院大学のたまプラーザキャンパス(横浜市青葉区)で、学生たちがハチミツづくりに取り組んでいる。周辺の花々の恵みを地域に還元し、緑豊かな街づくりに貢献するのが狙いだ。
ハチミツづくりを始めたのは2012年度。「地域の人に喜ばれる大学でありたい」というたまプラーザキャンパス長の思いを受け、職員が大学創立130周年記念事業として提案した。
キャンパス周辺は桜が多い。グラウンドの周りや東急田園都市線たまプラーザ駅前の桜並木は地域の人に愛されてきた。開発が進んだとはいえ、公園や畑、民家の庭木など、依然として緑が残る。
そんな環境を生かそうと、校舎の屋上に巣箱を置き、「万葉エコBeeプロジェクト」と名付けた学生団体が代々取り組むことになった。横浜市の市街地で養蜂活動をしている「Hama Boom Boom!(ハマブンブン)」の主宰者からも指導を受けた。
春は女王蜂が存在しているかを確かめる「内検」、蜜がたまる春から夏にかけては巣穴のふたを切り取って遠心分離器で採蜜し、冬は保温し砂糖水を与えるなどして越冬させる。
コロナ下では学生が登校できなくなり、主宰者や教職員らが代わって乗り越えた。今は約30人の学生が取り組む。街の桜は減りつつあるが、今年度は昨年度より多い約144キロの蜜を採取できた。
採蜜した時期によって色や味が違うのが特徴。「春はすっきりとした味だが、夏はねっとりしていて濃い」と観光まちづくり学部1年の大塚爽真さん(19)は言う。
ハチミツづくりを通じて地域とのつながりも育んでいる。
メンバーは今年も15日にたまプラーザ駅の商業施設で、活動紹介を目的にハチミツを販売する。
子どもたちに巣の形を聞くクイズを出すなど楽しく活動を知ってもらいつつ、容量が異なる4種類のハチミツを500円から1万円で販売する。
「地域のみなさんがご自宅などで花を育てているからこそ、我々のハチミツができる。緑に囲まれた地域づくりを一緒に考えたい」と代表で人間開発学部2年の塩江美涼さん(20)。
それが終われば新入生を募り、活動を受け継ぐ新しい世代を育てる予定だ。